興味のない方は、無視して下さいな。
この文章は転載無料と言うことですので、誠に有り難いですわ。
秀さん的には最後の 筆者の 「後記」 が心に沁みてこの方のお人柄がしのばれます。
転載その@
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Systems Research Ltd. Consultant 吉田繁治
新年特別号:マネーと信用の根源をたどれば、信用恐慌が分かる
【目次】
1. 準備率
2ペーパーマネーは賭博場のチップに似て
3.人は理性で計算するが、結局、感情で決定する
4.今、幸いに世界で国債が買われているが
5.国債はノンリスクとされる
6.金融資産は、別の人の負債
7.フランス王立銀行の帰結:1720年
8.現代の銀行制度
9.信用が創造されるプロセス
10.支払い準備率と信用創造
11.銀行は負債額が資産額
12.株も信用創造
■1. 準備率
【準備率が鍵】
紙幣を発行するために作られたフランス王立銀行(ロー銀行)による信用創造の鍵が、「低い準備率」という仕組みにあったことは、前号で了解されたでしょう。詐欺ではないのですが、預金の取り付けが現実におこると、詐欺風になってしまう。このため、銀行の本当の仕組みが、教育されないのかもしれない。
紙幣と、銀行がもつ貴金属の貨幣と交換を、政府・銀行が保証しても、支払い準備は多くて10%や5%、時に3%です。3%ならレバレッジ倍率(負債倍率)は、33倍です。
【今はBIS規制が準備率】
BISでは、国際的な取引を行う銀行の、時価の変動があるリスク資産に対する「自己資本(Tier1という)比率」は8%を推奨しています。
世界のマネーの総元締めは、中央銀行の上にあるBISです。スイス・バーゼルにある国際決済銀行で、各国中央銀行の中央銀行の役割を果たし、金融機関の対外決済は各国中央銀行を経て、BISを通ります。BISの株主は、国際金融マフィアです。
(1)わが国では、金融ビッグバンの90年代に、BIS基準を受け入れ、国際業務を行う大手銀行は、Tier1(中核的自己資本)で8%、国内業務に特化する地方銀行は、4%とされています。
米欧では今、リスク資産も時価評価の停止で、これが無視されています。信用を創造する金融には、他より強い経済倫理がいるのですが、金融危機のときは無視され、(今はFRBも何でもありで)当面する危機の、津波のような波及を防ぐ策をとっています。
(2)国債は、国が(ペーパーマネーで)償還を保証するからという理由で、(変なことですが)価格変動はあってもリスク資産ではないとわが国財務省はしています。為替価値が日々大きく変わるドル国債はどうなのか?
世界の銀行の仕組みは「低い準備率というマジック」で成立しています。構造は、フランス王立銀行(ロー銀行)と変わっていません。いや今は、ロー銀行のように、金との交換が保証された兌換紙幣(だかんしへい)ではない。不換紙幣でありペーパーマネーです。ペーパーマネーと国債の信用は、完全に同義です。
【根底を言えば・・・】
両者の信用の元を遡れば、国家の財政と将来の徴税力です。そして、将来の徴税力は、GDPの増加に依存します。GDPが増えないと増税は無理です。そのため、高齢化(=労働人口の減少)や企業の生産性の停滞や低下でGDPが伸びなくなると、国債の信用は下落し売れなくなって、金利が上がります。
社債の信用が、発行企業の収益力に依存するのと全く同じです。
そのペーパーマネーの価値は、外国為替市場で「相対的な価値として(=各国ぺーパーマネー同士の関係で)」、日々変化しています。国内の通貨で計る国債価格の変動より、はるかに大きい。為替相場が、国の経済の先行指標になっています。
1日1%の騰落は年間延長では365%です。5%なら1825%。信用でFX(外為投資)を行った人なら、実感されるでしょう。10倍のレバレッジは、10ヶ月を1ヶ月に、10年を1年に短縮します。ペーパーマネーがベースの現代金融は、この時間短縮を行います。
世界のペーパーマネーと国債には、兌換の対象だったゴールドのような、人類共通の価値基準がない。いや、兌換紙幣も、実際にはローの銀行のように、交換要求が増えると兌換できないので、事実上は不換紙幣です。金本位も、1970年(ニクソンショック直前)の米ドルのように、金交換要求が増えると守れない制度です。(注)金本位に戻るという説もありますが、それはない。
ぺーパーマネーでは、国家財政の赤字を国債と紙幣発行で補うので、インフレが内在化します。しかし、GDPが伸びなくなり、同時に紙幣の価値が、実際は低いと知られると、市場金利が急騰し、紙幣と同義の国債も発行できなくなって、逆の、激しい信用収縮(デフレ)になる。これが、フランス王立銀行の帰結でした。
王立銀行のペーパーマネーが信用されていた4年間(1716年〜1719年)は、フランス税収の、25年分の国債(30億リーブル)の利払いをまかなうため、金準備とリンクさせた紙幣発行を急増させた。そのため、株が高騰し、貴族が奢侈品を買うバブル経済だった。
ところが1720年には、過剰発行した兌換紙幣を金貨に交換することができなくなって、取り付けが起こった。 国は、信用を失ったペーパーマネーと国債の増刷ができなくなり、紙幣のマネーサプライは急減して、フランス経済は、デフレ的な恐慌になった。
【本質と根底】
まとめれば、(1)ペーパーマネーの信用は国債の信用であり、それは国家財政の信用です。(2)財政の信用は、国家の、将来徴税力の信用であり、増税は、選挙がある民主国では、実質GDPが増加するときしかできない。(3)実質GDPの増加は、労働力の増加×企業の生産性の上昇です。ここまで、遡ることができます。
〔結論〕GDPの増加率が、マネーへの信用の本質と言えます。ただし、対外債務の純増分は割り引かねばならない。
今後(*)年の先進国GDPの減少は、今はまだ信用されているペーパーマネーと国債の信用を、どう下げるか? ここが根底です。
【事実と認識】
経済は「人の認識」で動きます。事実と認識には、時間差があります。今、政府が行うべきは「財政の完全な情報公開」ですが、期待できません。そのため、タマネギの皮むきになる。その証拠に、日本政府は、2009年に最後の埋蔵金(特別会計の剰余金)を出します。これは国債増刷が無理という財務省の表明です。後は・・・ない。
金利は、国債が信用され買われる間は、中央銀行の政策金利に誘導されて、上がりません。ところがその信用が空(くう)と、人々に認識されると、まず、市中金利が急騰します。まだ、その兆候はない。
金融機関が、証券下落による自己資本の減少を補うため、回収可能なリスク資産を回収し、代わりに国債を買っているからです。金融会計制度では、ノンリスクの国債を買えば、自己資本比率は改善すると、財務省がしているからです。民間銀行も、危機では必ず政府が救うので、事実上は特殊法人。
■2.ペーパーマネーは賭博場のチップに似て
前号で示したジョン・ローが、貴金属の貨幣に代わる数字を書いた紙幣を、国のマネーとするという発案をしたのは、賭博場で使われるチップを想うと、明瞭になります。(ジョン・ローの前の事業は、賭博場の経営でした)
窓口でチップを買う。それを積んで賭ける。チップは銀行のペーパーマネーに相当する。チップが残れば、賭博場の外で使うマネーに再交換する。
ぺーパーマネーも、同じ仕組みです。賭博場を広げ、ロー銀行(フランス王立銀行)の紙幣を使ったフランスと見ればいい。
国家が、経済に必要な倫理(ethics)を無視するなら、国債は償還する必要がない。借り換えと新発債を増やし、額面の利払いをしておけばいい。倫理は正しさ(right)の追求。
市場が十分に引き受けないときは、日本は日銀、米国はFRBが買うことになる。最後は金利分も、新規国債発行で借りる。
国債を発行時の価値〔商品購買力〕で返した国は、(長期で見ると)3000年の世界史上、一カ国もない。結局、インフレで帳消しだった。
国家は、国債が発行できる限り破産しない。ペーパーマネーを、刷れるからです。いや紙幣の印刷ではない。コンピュータでの数字振り込みです。国家に破産はないと政府が言うのは当然です。代わりに、国債をもつ人が破産する。
われわれは(1)中央銀行のバランスシートの内容、(2)政府財政の見通し、(3)国債を買う資金源である余剰預金の3者から、判定するしかない。
2009年、日本は、国債の借り換え債が100兆円、新規発行が40兆円になるでしょう。注意すべきは、次第に、長期債の発行が、引き受け難になってきたことです。
そのため短期債の発行でつなぐ。このため借り換え債は、一層増えます。利益が出なくなった企業が、長期社債を発行できなくなり、短期の借金に頼ることと同じです。
国の総預金が増えなくなると、国債に引き受け難が起こる。形式上の支払い不能はなくても「事実上の破産」はある。以下の時です。
【国家破産は、利払い額を超える国債発行】
大量の国債を、金融市場が買えず、金利が高騰し(国債が下落して)、利払い分以上を新規国債の発行で賄(まかな)ったときです。
米国・欧州・日本の2009年、2010年、2011年は、国債の大量発行です。誰が買うか、買えるか・・・問題。アラブや新興国も、買えなくなった。
(注)実際に起こる半年以上先駆けて言うと、普通、現実感がなくなります。3ヶ月前くらいが、ちょうどいい。しかし今は新年、あえて、6ヶ月を超える中期と3年の長期を言います。
■3.人は理性で計算するが、結局、感情で決定する
誰でも、宝くじが還元率の低い賭博であることは「理性」では知っています。ところが感情では「当たるかもしれない」と確率を高く期待し買う。人は、理性で考え、最後は、感情で決めるという本質をもっている。これが、無理な投機や売りを生みます。稀には、投機で儲ける人も出る。
【予想リスク率=期待利回り率の原理】
金融工学の本質は、「確率的な予想リスク率」は、「心理的な期待利回り率」と等しいという原理です。期待利回り率が高いことは、リスク率の高さと同義です。原理は予想リスク率=期待利回り率。
デリバティブは、市場でしばしば発生する不均衡(予想リスク率≠期待利回り率)を狙い、両者の価格差を裁定(arbitrage)する金融商品を組成します。
計算した理論価格より市場価格が、高いものを探して売り、低いもの求めて買う。期限での決済は、両者の差額のみなので、高いレバレッジをかけることができる。
しかしこれは、金融工学で計算する数学的理性です。問題は、予想や期待の心理です。心理は、数値では測定できない。ところがそれを数字にする。ここに金融工学に本質的な、無理がある。心の愛情や嫌悪は、数値化できない。68%好きだ、とは言えない。
予想や期待という感情が混じると、リスク率を低く(あるいは期待利回り率を高く)見る。または逆です。そして、上げ相場でも逆でも、他の人は失敗しても、自分は成功すると、感情で思いこむ。下がれば、他人に先駆け売ればいいと思うのです。
【相場は、高くも低くも行き過ぎる:これが本質】
ところが・・・下げ相場では、多くの人が売りに殺到し、相場が立たなくなる。気配値はついても、買う人がいない。上げ相場は、逆です。歪みがあるくらい高くても買いが増え、上がりすぎる。
買う人がいないと、流通市場の消滅であり、トレーダーにとって「50%でも売れない、手許に現金がない」という怖い事態が起こる。米欧の住宅証券市場が、これだった。
金融機関がもつ国債が大量に売られ市場価格が下落し始めると、金利は短期間で急騰し、誰も手がつけられなくなる。この点、住宅証券と変わらない。住宅証券は担保価値と世帯の所得が信用の根源ですが、国債は国家財政です。
売りに出た米国の住宅在庫は、いよいよ12ヶ月分に増えた。普通の時期は4か月分です。3倍もある。米国の住宅価格は、ピークから25%下げましたが(08年11月)、まだ下げます。下げの予想が多数派になったので、住宅証券市場に売買が少ない。(注)米国が、国債発行で、売れない住宅証券の45兆円分を買うと言う。
■4. 今、幸いに、世界で国債が買われているが
今、金融の世界では、下がったリスク資産(株・社債・住宅証券等)を売り逃げた金融機関のマネーが、手許現金には金利がつかないので、長短の国債を買っています。
そのため、国債の時価は上がり、時価に対する利回りは、超低金利になった。
米国FRBは、08年12月に銀行間のコールローンの、オーバーナイト(一晩)の短期金利を0%〜0.2%に低めた。これは、中央銀行による国債買いの期待が市場に醸成されることを意味します。国債の利回りが、長短のベース金利になる。
(注)08年12月末で、米国市場の短期金利0.44% 長期金利2.18%:日本短期0.62% 長期1.22%:ユーロ短期2.97% 長期2.89%です。
ユーロの長短金利の異常な逆転は、欧州での金融危機の現在進行、つまり住宅ローンの破産増加を示します。短期国債が投げ売られ、下落しています。日本でも、バブル崩壊の初期に、長短金利が逆転しました。
ユーロが今、一時的に上げているのは、短期金利がゼロ水準になったドルを売った、ユーロ建ての長期国債買いがあるからです。約3%の金利差があると、ユーロでも買われます。ユーロも、米ドルと同じく危険なのですが。
■5.国債はノンリスクとされる
国債は、不思議な金融資産です。券面に書かれた額面(名目金額)の償還と金利は、政府が、ペーパーマネーの支払いで保証します。
中央銀行も安全資産として買い、ペーパーマネーを、政府の口座に振り込む。そのマネーを使い、政府は、額面金額を償還する。そのため、不思議にノンリスク資産とされます。
いや・・・不思議ではない。
価格変動のある国債を、他の企業証券と同じリスク資産とすれば、金融機関が保有する国債を売ることに向かい、市中の金利が高騰し、国債発行での借り換えができず、財政が破産し、公務員の給料、年金・医療費を含む社会保障費、軍事費が払えないからです。
つまり国家に破産をさせないための策が、国債をノン・リスクに認定する策です。
ところが歴史では、政府が増税をし、物価インフレ分を加えた利払いをし、償還したことはない。歴史は、人の共通記憶ですが、当面の情報で、覆い隠される。ローマ時代や18世紀、19世紀、20世紀初頭とは違うと人は、言う。何がジョン・ローの銀行(王立銀行)と違うのか。私には、理解できません。
対外債務の多い国でしか、モラトリアム(支払い猶予)やデフォルト(支払い停止)がないのは、償還の資金を得るための借り換え国債を発行し、市場と銀行に売って、借り換えを続けるからです。
しかし信用膨張の結果のインフレ分だけ、国債の時価に相当するペーパーマネーの購買力は、減って行きます。それが(政府規制で)ノンリスク資産とされる。
本稿では、以降で、各国の中央銀行をマネー発行の源流とする銀行制度による、社会におけるマネー創造(言い換えれば信用の創造と、その貸し付け)の仕組みを、示します。ここに、発行時の価値が償還されたことがない国債の秘密もある。
「パーパーマネー」が、銀行以外の、誰かの資産を担保にした負債であることも了解できます。信用の根源に遡りましょう。
信用はクレジットであり、クレジットは、購買力をもつマネーです。その信用を表象(re-present)するのが、中央銀行が印刷する紙幣です。一枚ずつマネーの皮を剥けば、結局至るのは、タマネギのような空芯です。
実際のリンゴ(意味されるもの)と、リンゴという言葉(意味するもの)の関係に似ています。リンゴやappleという言葉を遡っても、音と文字しかない。リンゴでリンゴを表すという約束しかない。マルクスは難しい「価値形態論」(『資本論』の中)で、具体物の商品と交換を約束される「一般貨幣」と言った。しかし今は金属貨幣の代替であ
る紙幣(一般貨幣)には、数字しかない。(注)一般はgeneralです。基準と言ってもいい。
■6.金融資産は、別の人の負債
金融資産や預金は、所有者にとっては、資産です。しかしその資産は、銀行制度を媒介〔メディア〕にして、他の人(国内の国家・企業・個人、及び海外)の負債になっています。
その負債が投資され、利益を生むとき、わが国の個人金融資産も、価値がある。銀行を含むバランスシート(会計的な貸借対照表)で考えれば、分かることです。
【世帯の金融資産】
預金は、
・預金者の資産ですが、
・銀行にとっては負債です。
その負債を使い銀行は貸す、あるいは国債、社債、住宅証券、デリバティブを含む証券を買う。
わが国では、個人金融資産1467兆円(08年9月:前年末比−5.2%:預金800兆円、他は生命保険、年金基金、株、社債保有等)があるとされます。
大部分は預けた金融機関を通じ、国(国債)、企業(株・社債)、世帯(ローン)、米国(外債)が借りています。日本の企業に貸すより多く、米国に貸していると言えば、高いリスクを了解されるでしょうか。戦後の米ドルの歴史は、円に対し、三分の1への切り下げの歴史でしかなかった。
【参考:社会】
「社会」も、わかりにくい言葉ですが、民主国では議会がつくる法を根拠に、お互いが守るルールを定め違反者を処罰して、組織化された集団とでも言ったらいい。王国では、王の家臣である官僚が作る勅令が法です。この社会のルールを変えるのが、「革命」です。
わが国で、社会に当たる和語は、世間や当世でしょう。「世間体(てい)や品」が重要になる。社会体(しゃかいてい)とは言わない。法を守るという意味しかないからです。
会社は社会の中で、独自の価値観(社是や定款の原初的な意味、あるいは理念)で、資本をもとに作られ、仕事が組織化された集団です。
価値観や理念は、何を他より大切にするか、言い換えれば主義にするかという合意でしょう。あなたの会社は、何を、大切な価値観としていますか? そして仕事の方法と戦略は、何ですか?
【株も信用】
後半では、資本主義社会における、株による信用創造の仕組みも述べます。実際、銀行制度で作られるペーパーマネーの信用総額より、資本の利益の期待で作られる信用が大きいことが多い。
それが、世界では07年に6000兆円余に達していた株の、時価総額です。社会における株価の下落は、直接にはペーパーマネーの減少ではないのですが、会社が使える資本が減ることを通じ、ペーパーマネーの減少も、生みます。社債も他の証券も、同じです。
【参考:資本主義】
われわれが制度として認めている「資本主義」とは何か? 会社がその活動の結果上げた利益(またはその逆の損失)が、会社の資本に帰属するという制度が本質です。
社員は、労働の対価たる報酬を受ける。社員の報酬は会社の経費です。その人件費と他の設備関連の経費を引いた結果が、利益です。利益は、資本を出した(株を持つ)株主に帰属します。
(注1)主義は「大切な価値観とする」という意味。資本(=株)を、労働より大切な価値として重んじるのが資本主義でしょう。労働を大切な価値観とするのが、社会主義(あるいは共産主義)でしょう。市場主義の展開が、顧客主義です。顧客を大切にするという意味。
(注2)市場とは顧客ですから、顧客主義はその満足をもっとも重視する。毛沢東主義の中国では、労働が大切で、顧客は重要ではなかった。
(注3)会社の運営方法(=経営=マネジメント)と、社員の仕事の方法(個人職務と、組織での個人職務の連鎖=分業のワークフロー)、重んじるべきこと(価値観、理念、到達目標)を決めるのが、資本の利益を上げることを株主から委任された「経営管理者」です。
【参考:株主と会社】
そして株主は、俗説が言うような、会社の所有者ではない。「人間(自然人)」を、だれも所有できないように、「法人」が所有する資産は、仮想的な、自然人ではない法人(会社)が持つのであり、株主の所有ではない。
株主ではあっても、会社が所有するパソコンや商品(資産)を、持ち株分だけ、黙って自宅に持って帰れば、刑罰を受ける窃盗になることからも、了解できるでしょう。
資本主義のルールでの株主は、会社の資本と、資本が上げるとする利益の所有者です。
そのため、会社の資本である株は、黙って自由に処分ができます。そして、会社の利益(あるいは損失)は、株主の所有です。出資には損失のリスクがあります。その対価として、利益も所有できると見ることができます。
本来、われわれの社会の、根幹にある信用、ペーパーマネーの制度とその本質、及び資本主義における株の意味は、中等教育で教えるべきものです。不思議に行われていない。政府、官僚が言いたくないのかもしれません。
【議論の混乱】
経済的な信用と資本主義について、常識(コモンセンス=共通知識)に欠落があるため、いつも、大きなことの議論には、混乱が生じます。
混乱の帰結として、不況が深くなり、会社利益が減って失業が増えると「要は政府が悪い」、そして「原因が政府なら、政府は、何でも解決できる」という論になる。官僚はそれを聞き、喜ぶ。権益の拡張でもある政府対策ができるからです。そして結果は、年々、規制が多い国になって行く。
【政府部門】
確かに民主社会では、ほぼ等しく政府部門は大きい。社会主義では全部が、政府部門です。社会を重んじるからです。米国では国民所得(≒企業+世帯所得)に占める政府部門は40%、日本では45%です。社会福祉が発達した北欧では70%付近。これを国民負担率とも言う。
元旦の討論番組を見ていると、要は、政府批判でした。それだけに帰することはできないのですが・・・米国でも、オバマ政権は、政府の不況対策への期待で、1月21日に登場します。
世界で最初に、パーパーマネーを発行したジョン・ローのフランス王立銀行と、ペーパーマネー、及びルイ14世が残した25年分の税収に相当する30億リーブルの、国債は、ぺーパーマネーを発行した4年後の1720年には、どうなったか。まずは、前号の続きです。
その後は、現代の、信用創造をする銀行制度、後半は、株式制度です。
■7.フランス王立銀行の帰結:1720年
ジョン・ローが原案を作った「準備銀行」の発明を利用し、貴金属の貨幣に代えるべく、ペーパーマネーが発案された理由は、太陽王ルイ14世の浪費と官僚(貴族)の蓄財によって、税収の25年分に増えた国債を、紙幣に換えるためでした。
この紙幣は、当初、貴金属の貨幣と1:1で交換する保証を王立銀行がするものだった。銀行は、取り付けがないという前提でしか、成立しません。ところが、取り付けが起こった。
国民は紙幣を信用せず、いったんは銀行に紙幣と引き替えに売った貴金属貨幣の一部を取り戻し、ベッドの下に退蔵した。あるいは、海外に持って行った。
政府はこれに対抗し、貴金属貨幣の、買い物での使用禁止令を出す。国民は、ますます貨幣を退蔵し、フランス経済でのマネーの流通量は減って、ペーパーマネーの信用膨張によってバブル化していた経済は、約半年の短期で信用収縮し、デフレ型恐慌に陥ります。
信用され、使うことができるマネーが減ったからです。
政府は国債の利払いと満期の償還に、フランス王立銀行が発行する紙幣しか出さない。30億リーブルの国債は、順次、無価値になった。政府は勅令で、国債をペーパーマネーに換え、帳消しにした。
政府が交換を保証していた貴金属貨幣の多くは、モノの価値が低い銅貨に置き換えられた。ない袖は、振れないからです。
ゴールドは、それ自体が高い価格(=価値)を持ちます。紙幣は、そうではない。モノ自体の価値は、穴があくほど見ても、無価値です。1万円札の福沢諭吉が、慶応大学を担保に入れ、土地で保証するわけではない。日銀にも保証する資産はない。
紙幣の信用は、他の人もそれを信用するという「信用の連鎖構造」があって初めて、価値をもつ。ジョン・ローの、フランス王立銀行は、約束した金との交換ができず、紙幣を無価値にしました。
■8.現代の銀行制度
現代の、先進国世界の銀行制度は、本質は変わっていないのですが18世紀初頭のジョン・ローの時代(4年間)より、少し複雑でソフィスティケート(高度化)されています。
▼中央銀行
まず、銀行に貸す銀行としての「中央銀行制」です。中央銀行が、独占的に紙幣を発行しています。注意すべきは、社会での信用創造は、(1)中央銀行だけではなく、(2)銀行全体、(3)金融機関全体、(4)そして株を中心とする有価証券全体で行われることです。住宅証券も信用創造の一翼です。
(注)米国FRB(連邦準備制度:1913年〜)の設立過程を調べると、実に、怪しいのですが、確証がないので述べません。それと日銀の株主、公式には財務省が55%とされます。確証はどこにあるのか。
【第一段階】
(1)中央銀行が、最初に国債を買う。例えば日銀の主要資産(約60%)は国債です。金ではない。国債発行額に見合う紙幣を発行する。国家の口座に振り込みます。
中央銀行の、原初的なB/Sは、以下のようになる。
【資産】 【負債】
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
国債保有額 1兆円 紙幣発行額 1兆円
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
1兆円(1万円札で1億枚)の紙幣は、日銀から政府口座に渡ります。政府はその紙幣で、予算をまかなう。しかし今は、紙幣の発行は要らない。日銀のコンピュータで、政府の口座に数字を打ち込むだけでいい。マネーはハードディスクの記号です。今は、過去のように紙幣を増やす必要はない。
紙幣が必要になるのは、現金での買い物のときです。あるいはタンス預金のときです。日銀は08年12月20日で、78兆9131億円の紙幣を発行しています。高齢世帯のタンス預金は、30兆円と言われる。(注)わが国の金融資産は、60歳以上の高齢者世帯が1000兆円(三分の二)を持ちます。
他方、国債所有は67兆円で、ほぼ、紙幣発行額に見合っています。
http://www.boj.or.jp/type/stat/boj_stat/ac07/ac081220.htm
(注)日銀資産で、昨年来、急に増えているのは「外国為替(28兆円)」です。08年9月10日は、5兆円分でした。日銀は、9.15のリーマン破産以後、米政府とFRBの要請で23兆円分のドル証券を買い、米国に資金供給しています。ドル下落で巨額損をしたら、誰が責任をとるのか。
誰も取らないから、困ったこと。これは、国富(国民の富)の供出です。
http://www.boj.or.jp/type/stat/boj_stat/ac07/ac080910.htm
国債に見合う紙幣を発行するのは、09年9月以前の米国FRBも同じでした。今、FRBは、金融機関の不良債券を買い取り、資本供給もしたため、無茶なB/Sに陥っています・・・FRBの信用(資産・負債)は、08.9.15以後で、2.6倍に膨らんでいます。もうこれ以上は無理だと、議長バーナンキも言ったのですが、かまってはいられない。
紙幣の元は、政府の負債である国債であるということを、ここで確認します。財布に10万円をもつことは、政府に、10万円を無利子で貸し付けたことと同義です。
その10万円の価値は、負債を抱える政府が保証していることになる。この政府保証を、国民が信じているから、10万円の価値があるように思えるのです。担保となる実物の財貨との関係は、ない。
預金口座の数字や、年金基金、生命保険、株、証券の数字も同じです。国民が、数字を信用するから、その価値がある。信用の元は、「空(くう)」です。心理的です。
高僧が書くお札(ふだ)にも似ている。他の人が、価値あると信じるから価値がある。日銀には、通貨発行に見合う実物資産はない。
ジョン・ローの王立銀行や、独裁のジンバブエのような、経済規模に比較し無茶な紙幣発行はしない、政府財政は破産しない、取り付けは起こらないという前提で、紙幣の価値がある。
【第二段階:銀行】
銀行は、預金を集めます。その預金を運用(貸し付け、証券買い)し、利益を出す。銀行には、5%程度の準備率が義務づけられています。先に挙げた、4%や8%の自己資本規制がこれです。
銀行は、中央銀行の無利子の「当座預金」に、支払い準備金を預託します。今日銀には、全銀行から預かった9兆円の当座預金(準備預金)があります。
金融機関はこれを、支払い準備にする。足りなくなると、公定歩合(日本0.3%:米国0.25%:ユーロ2.5%:08年12月)で、国債や手形を担保に、中央銀行が「(事実上)いくらでも」銀行に貸します。だから日銀も、銀行から9兆円を預かるだけでいいのです。
(注)銀行に対し、政府が規制する支払い準備の積み立て比率を、仮に5%とします。これが後で意味を持ちます。元のお金の、20倍の信用創造が、銀行全体で行われるからです。
5兆円の預金という負債をもつA銀行のB/Sは、例えれば以下のようになります。
【資産】 【負債と資本】
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
貸付金 3兆円 預金 5兆円
有価証券 2兆円 自己資本 0.5兆円
その他資産 0.5兆円
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
個人や企業から預金を5兆円預かり、その負債を3兆円貸し付け、有価証券(社債・株・国債・住宅証券等)を2兆円買ったという意味。銀行が貸し付けるのは、預金という負債です。
銀行には、預金に見合う紙の証券はありますが、現金はない。現金が足りなくなると、日銀当座から引き出すか、日銀から借ります。あるいは、余分な現金をもつ他の銀行に電話をかけ、コールローンで借りる。
A続く・・・・・・・・
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昨夜、私も妻に、この文章を読んでくれ!
と、無断でプリントアウトしたものを渡しました。
本当に、わかりやすい文章で、私のような経済の素人にも、ほんの少しだけ理解できたように思います。
秀さんが、書き記されている、最終部分、
私も、心にグッと来るものがありました。
少し貼り付けた文章が長すぎましてねぇ。
でも立派な内容だと思います。
筆者の博識と心に打たれるものがあり転載しました。
コメントいつも有難うございます。
PS:ウルメは人には売るめぃ でも食べられた。(笑)