これこれ、乞乃助よ、久しぶりじゃのう・・・。
あ、これは、これはお奉行様、久しくご無沙汰をしております。
ふむ〜、時にはお前のまぬけ面を見んとわしもチョットばかり寂しいのでのう。たまには挨拶に来るのが人の世の礼儀と言うもんじゃぞ。
へへ〜ぃ、相済みません。
と言うのも大江戸で政府用人の選挙があったことはお奉行様も御存じかと思いますが、このことが気になってなかなか仕事も手につかずあれこれと日本の行方を考えておったところでございます。
おい! 乞乃助よ、お前ごときが大江戸幕府のご政道のことなど気にしたところで何も変わらんわ、 寝言は布団の中で寝返りを打ちながら言わんかい、この戯けが!
ところでのう、わしはもっぱら家で料理を作るのが楽しみになって来ての、最近はうどんを自分で打って食べるのがひとつの趣味になっておるのじゃ、お前も、ふらふらと霊端遁あたりの越南のおなごのおる空桶飲み屋なんぞに行かずに何か良い趣味を持つことじゃ
へぇ〜、お奉行がうどんをねぇ〜、
そう言えば、かれこれ2月前になりましょうか・・・
愚園電柱の通りでいきなり横からあるうどん職人の男が拙者にド〜ンとぶつかって来ましてな、拙者あまりの痛さに ウ・・・と唸ってしまったことがございます。
それからず〜んとした痛みが中々取れず、町医者にかかったのですが、その藪医者申すに、ド〜ン とぶつかって う・・・と痛みが走る、これは医学用語で う鈍痛 と言うらしい・・・
どうです! お奉行、久しぶりの乞乃助のダジャレは・・・
へ! お前は全く進歩がないのう・・・わしは悲しいわ
身分は違へど目をかけてやっていたお前だが、その程度のダジャレをかましているようじゃ、今後は身分通りの付き合いに戻さねばいかんのう・・・・
良く聞けよ、越南の秀さんこと玄海魚乞乃助・・・・
これは3月程まえだったかの、ある屋台のうどん屋での出来事じゃったわ。
1杯注文をしたのじゃが、出てくるのは遅いわ、麺は伸びておるわ、出汁は不味いわの3拍子そろったうどん屋での・・・・
へいへい、それから・・・
そこでじゃ、わしはそこの主に一言二言苦言を吐いたのだが・・な、
こ奴めは人の話を聞くどころか逆にわしに食ってかかっての、やれ奉行か何かは知らんが、ど素人が生意気を言うな! と言われた訳じゃ・・・
ほいほい、続きを・・・・
更にごたごた言うなら表に出ろ! と職人風情に言われたらわしとて堪忍袋の緒が切れての・・・・
うどん屋は店の包丁を持ち出して来たもんだからわしも少しばかり驚いた次第じゃ・・・
はぁ〜 それからどうした…よいよい・・・
これ、変な合いの手は入れるでない、戯けが!
そこでわしも少しばかりこのうどん屋を懲らしめてやろうと先祖代々我が家に伝わる名刀、政宗 いや見栄を張ってはいかんのう、春雨でもない微粉(ビーフン)を抜いた訳じゃ・・・
少し脅かしてやれば詫びを入れるじゃろうと簡単に考えておったのじゃが・・・
ところがじゃ・・・
こ奴相当な腕前での・・・・対峙すること数秒でわしが逃げまどう羽目になってしまったのじゃ・・・多分、あ奴は元は武士の身分であっただろうよ
まぁ、お奉行の剣術は昔からなまくら剣術ともっぱらの評判でしたもんねぇ・・・
じゃかあ〜しい!
で、続きを・・・・
逃げるわしの背中にうどん屋が浴びせた言葉が・・・
へへん、お武家さんよぅ、そんな コシ の引けた構えじゃ、胴にもならん
小手んとコシがたれておるわ
ましてや 麺 も打てやせん!
いくらうどん屋風情とはいえ、手打ち にも出来ませんぜ! ・・・・と
来たもんじゃ! じゃ! どうじゃ! どうじゃ〜ああああ!
同じ駄洒落でもお前のごろ合わせとダジャレと・・・
わしの出汁の効いたダジャレでは胡乱と饂飩ほど違うじゃろ・・・以後精進いたせよ、乞乃助・・・・
と言って奉行は走り去って行ったのでした・・・・終わり。
・・・・続きはまた1年後にでも!
必要ない ってか!
スマソ・・・
秀さんの唯一の趣味ですもん、なが〜い麺で見て頂き、どうかお許しを!

